INTERVIEW

50人に聞く「ゲーム=人生そのものを楽しむ心」とは

久保田沙耶

久保田沙耶

現代美術家

Q これまでの人生で最も粘り強く頑張った(もしくは現在進行形で頑張っている)ことは?

計画性の無さからくる締切前夜などの異常な粘り強さはさておき、がんばり続けたことはなんだろうと考えたところ、ある春の日を思い出しました。私が6歳のとき、祖父と散歩中に「さやちゃんは白い絹のハンカチのような子だ」と自慢げに言われた日のことです。正直、絹、しかも白、しかもハンカチとはとても言い難い、ずるくてわがままで思いやりのない私でしたが、その言葉を言われたとき、おじいちゃんの手を思わず強めに握ったのを覚えています。あの日からずっと、その場しのぎのグレーや取り返しのつかない黒に落ちそうになる時には、私にとっての白に近づこうと頑張ってきたつもりです。私がおばあちゃんになる頃には、真っ白になるか真っ黒になるかは分からないけれど、今は絹目がただれないように、じっくり手洗いを続けて、いつか人生の終わりに出会う本当の絹のハンカチは一体どんな手触りなのだろうと夢見ています。(ちなみに今日は漂白剤をぶち込みたい気分ですが踏みとどまっています)

Q日々の暮らしや仕事など、人生を楽しむ秘訣

肌身離さず毎日使う道具、たとえばペンや腕時計、手帳、カバン、香水、ピルケースなどは、将来の自分の遺品になるもの、と空想しながら選びとってきました。年季が入っていく物と自分を重ねて、使い続けることは楽しいです。どんなことをしていても「今が特別だ」と思い出せるような魔法の矯正器具のような愛用品たちを、いつか大切なだれかに託したいです。

プロフィール

現代美術家。1987年、茨城県生まれ。幼少期を香港で過ごす。筑波大学芸術専門学群卒業。 現在、東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻油画研究領域在学中。日々の何気ない光景や人との出会いによって生まれる記憶と言葉、それらを組み合わせることで生まれる新しいイメージやかたちを作品の重要な要素としている。焦がしたトレーシングペーパーを何層も重ね合わせた平面作品や、遺物と装飾品を接合させた立体作品、さらには独自の装置を用いたインスタレーションなど、数種類のメディアを使い分け、ときに掛け合わせることで制作を続ける。個展「Material Witness」(大和日英基金/ロンドン)やプロジェクト「漂流郵便局」(瀬戸内国際芸術祭2013)など、グループ展多数参加。著書に「漂流郵便局」(小学館)。

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